知的生産のための「発見の手帳」をスマホアプリの「DAY ONE」で

1 知的生産とは何か

知的生産の技術 (岩波新書)というベストセラーがあります。かなり前に読んだのですが、pomera DM100やトラベラーズノートを使い始めて、あらためて知的生産を行っていきたいと思ったので再読してみました。

梅棹忠夫先生がつくった「知的生産」という言葉。この定義について、本書では以下のように述べられています。

「ここで知的生産とよんでいるのは、人間の知的活動が、なにかあたらしい情報の生産に向けられているような場合である、とかんがえていいであろう。この場合、情報というのは、なんでもいい。知恵、思想、かんがえ、報道、叙述、そのほか、十分ひろく解釈しておいていい。」(『知的生産の技術』P9)

つまり、何かを考えたり感じたりしたことを情報として生産することといえます。今やブログやTwitter、Facebookなど、個人が情報を発信するツールはたくさんあります。個人が情報として何かしらの発信をすること、それはすなわち「知的生産」であるということができます。

2 知的生産の技術に王道なし

梅棹忠夫先生は、本書において、「知的生産の技術には王道はないだろうと思う」(P20)とおっしゃっています。知的生産にはいろんな手法があるけれども、これだけやればOKというものは無いということですね。

学問に王道なしということと同様、確立されたメソッドがあるわけではないということです。そうはいっても、技術の中には汎用性があるもの、いつまでも使われる技術というものがあるわけで、本書に書かれている技術についても、今でも十分に参考になる技術があると思います。

3 ダ・ビンチの手帳から「発見の手帳」へ

本書の冒頭で「発見の手帳」という章の中で、レオナルド・ダ・ビンチの話が出てきます。

「『神々の復活』にでてくるダ・ビンチは、もちろん、よくしられているとおりの万能の天才である。しかし、この天才には奇妙なくせがあった。ポケットに手帳をもっていて、なんでもかでも、やたらにそれにかきこむのである。町をあるいていて、であった人の顔の特徴をかきこむ。お弟子がかいものにいってかえってくると、いちいち品物の値段をきいて、かきこむ。まったく、なんの役にもたちそうもないことまで、こくめいにかきこむのである。」(P22)

このダ・ビンチの手帳に影響を受け、何でも手帳に書くことにしたとあります。手帳に書くことは、はたしてどんな意味があるのでしょうか?梅棹忠夫先生は以下のように述べています。

「ダ・ビンチの手帳の実際がどうであれ、わたしたちはかれの精神に魅せられていたのである。あらゆる現象に対する、あくことなき好奇心、知識欲、包容力。そういうものにあこがれていたのである。」(P24)

そして、具体的には「発見の手帳」という形に発展します。

「わたしたちが「手帳」にかいたのは、「発見」である。まいにちの経験のなかで、なにかの意味で、これはおもしろいとおもった現象を記述するのである。あるいは、自分の着想を記録するのである。それを心おぼえのためい、みじかい単語やフレーズをかいておくというのではなく、ちゃんとした文章でかくのである。・・・たまってみると、それは、わたしの日常生活における知的活動の記録というようなものになっていった。」(P24)

この「発見の手帳」という考え方は、現代においても役立つ知的生産のための技術であると思います。

4 「発見の手帳」をスマホで実現

「発見の手帳」を実践するとなると、どのような手帳が良いのでしょう。梅棹忠夫先生は以下のように述べています。

「さきにいったように、「発見」がまったく突然にやってくるものである。それをその場でとらえて、即刻記録するのであるから、その記録の装置としての手帳は、いつでも身につけていなければならない。これが「発見の手帳」についての、第一原則である。」(P30)

つまり、思いついた発見をすぐに記録できなければならないということですね。これは今であれば、まさにスマホはいつでも身につけていますし、すぐに記録できるアプリもあります。この観点からは思いついたら、すぐにスマホでメモすることが「発見の手帳」のコンセプトを現代に具現化することとも言えます。

5 「発見の手帳」のためのアプリ「DAY ONE」

「DAY ONE」という日記アプリとして定評のあるアプリがあります。この「DAY ONE」を使うことで「発見の手帳」を実現することが出来ると私は考えています。

「DAY ONE」は、基本的には日記アプリなのですが、一日に何回でも投稿できる仕組みです。つまり、1日1ページではなく、日記アプリでありながら、ページを増やせるのです。この点では概念的には日記ではないイメージです。

「はじめは、どのページもおいこみで、つぎつぎとかきしるしていったのだが、これではあとから利用するのにたいへん不便である。それでのちには、1ページ1項目という原則を確立し、そしてページの上欄に、そのページの内容をひと目でしらせる標題をつけることにした。いくらみじかい記事でも、内容がかわれば、つぎのページにすすむ。」(P31)

これが後に有名な「京大式カード」へと発展していきます。

さて、「DAY ONE」という日記アプリですが、この「1ページ1項目という原則」を守った運用がしやすい日記アプリです。一日に何度も投稿できるので、1テーマ毎、つまり1ページ1項目毎に記録していくことができます。

しかも、記録した場所や天気は自動的に記録されます。これはスマホに内蔵されたGPSデータと連動して、その地点の緯度経度情報とそれに紐付く天気データを持ってきて、記録することを一瞬にして自動的にやってくれます。

日記アプリ、DAY ONE。

日記アプリ、DAY ONE。

6 まとめ

梅棹忠夫先生の「知的生産の技術」をあらためて読んで、着想、感想、発見を記録することの大切さを感じました。書き留めなければ、消えていってしまう考えを、今すぐに使えなくても記録しておくこと、それが大事なのだと思います。

レオナルド・ダ・ビンチのみならず、何でもメモすることで有名なのは、エジソン、アインシュタイン、ニュートンなど、著名な天才たちは皆、メモが大好きだったようです。

iPhoneアプリの「DAY ONE」を発見の手帳として、気がついた時に、さくっとメモして、少し落ち着いて書く時は、トラベラーズノート。知的生産活動として、情報を文章としてまとめる時にはpomera DM100を。といったように用途や場面に応じてツールを使い分けて知的生産をしていきたいと思っています。

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